設立趣旨
戦後半世紀以上が経過し、我が国は今や世界有数の経済大国としてその地位と役割を有するに至りました。アジアのみならず、地域紛争の絶えない国々においても、我が国が武力によらない活動を行い、その使命を果たすことが益々重要となっています。
また、情報技術の発達により、従来の様々な障壁が消滅し、新たなるパラダイムのもとに、教育や文化の交流が行われるようになりました。
しかし、そのような中で、「豊かな情操と文化」は、それを課題とする様々な教育機関や地方自治体の期待にもかかわらず、次第に失われつつあるのが現状ではないでしょうか。その原因のひとつは、「豊かな情操と文化」とは一体何であるかについて、冷静な分析や研究が行われていないことが原因と思われます。ともすれば単に民族の伝統を振り返り、感傷に浸るだけが「情操」と考えられ、本来静的な感情である「情操」を一種の党派的情熱と錯覚するような誤解が存在することも否定できません。私たちは、今こそ冷静な目をもって、「情操と文化」を検証する必要に迫られているのではないでしょうか。
私たちが行う研究の主な課題は次のような課題であり、情操の様々な領域、すなわち科学的・論理的情操、道徳的・倫理的情操、美的・芸術的情操、宗教的情操の諸領域について、教育、宗教、哲学、心理、経営、歴史、文学、社会学、人類学、音楽、美術、精神医学等の諸分野から学際的な研究を行うことを目的とし、ここに「日本情操文化研究所」を設立するものです。
(1)情操と文化のかかわりについての学際的な研究
(2)出版物を含むメディアと情操の発育のかかわりについての研究
(3)人格形成期における情操教育についての研究
(4)未来社会における情操教育の価値についての研究
私たちの研究がやがて到来する未来の日本に新しい人間のあり方を提案し、私たちの祖国が真に人類のためにその本来の使命を果たすことができることを期待するものです。